一風堂の世界進出が成功したのは○○したから

さて、今回は最近、
沖縄に初進出したラーメンチェーン店一風堂の
ニューヨーク進出の成功裏に隠された
ビジネス戦略についてお話をしていきます。

で、、、皆さんはそもそも一風堂ってラーメンチェーン店ってご存知ですか?

白丸元味

福岡発祥のラーメンのグローバルブランドです。運営会社は、
株式会社力の源カンパニーで、親会社の株式会社力の源ホールディングスは、
東京証券取引所第一部に上場している。

実は、沖縄にも最近、初上陸して話題なりました。

そんな上場していて、今、最も勢いのあるラーメン屋さんですが、
実は、今、日本よりも世界で激熱なんです。
※現在、一部コロナウィルスの影響で臨時休業中

世界15か国、293店舗を展開しています。(2019年12月末現在)

出店している国と店舗数は以下の通りです。

  • 日本(163店舗)
  • 中国、香港(34店舗)
  • タイ(18店舗)
  • 台湾(15店舗)
  • アメリカ(13店舗)
  • シンガポール(9店舗)
  • フィリピン(9店舗)
  • オーストラリア(8店舗)
  • マレーシア(6店舗)
  • インドネシア(5店舗)
  • イギリス(4店舗)
  • フランス(3店舗)
  • ミャンマー(2店舗)
  • ベトナム(2店舗)
  • ニュージーランド(1店舗)

南米とアフリカにはまだ未進出ですが、まだまだ業績はうなぎ上りです。

彼らがどのように海外展開を上手く行ってきたのか?
考察を述べます。

海外進出成功の3つのポイント

  • 1.ニューヨークを制する者は世界を制する!?
  • 2.材料の仕入れ網を作る
  • 3.国に合わせた販売方法
  • 4.まとめ

1. ニューヨークを制する者は世界を制する!?

一風堂が本格的に世界進出を始めたのは、2008年頃。アメリカのニューヨークに記念すべき、海外初となる1号店をオープンした。

創業者で、現 株式会社力の源ホールディングス 会長の河原成美氏は、2000年代からの海外進出を虎視眈々と狙っていたという。

国内では、創業してからは、福岡で人気のラーメン屋に過ぎなかったが、 1994年に「新横浜ラーメン博物館」に出店したことで、一躍、日本国内でその人気を全国へ押し上げた。この成功体験が元となり、世界で成功するためには、ヒト・モノ・カネすべてが集まるニューヨークでの成功がマストであると考えたのだ。

そして、その後、ヨーロッパの中心地イギリスのロンドンや、フランスのパリにも出店させている。

また、自社のブランドイメージを浸透させるために、ニューヨークや、ロンドンの店舗は、直営店の形態で運用している。

一方、多店舗展開を見据えているアジア市場では、現地企業とライセンス契約を結び、自社の商号や、ノウハウを提供する代わりに、ライセンス料を貰う仕組みだが、任せっぱなしのフランチャイズチェーン方式ではなく、運営に対して積極的に介入するスタイルだ。

2.材料の仕入れ網を作る

進出先では、日本と全く同じ原材料を使う事は、コストがかかり過ぎるため、極めて難しい。ただ、限りなく近づけることは出来る。

一風堂はそれを極めて精度を高く行っている。

国やエリアによって条件が異なるため、キーポイントとなるスープや麺の原料は一部、日本から輸入している。スープの原料には、水・醤油・豚や鳥の骨が使われている訳だが、とりわけ、その中でも一番決め手となる醤油に関しては、現地の日系企業に依頼して専用の醤油を作ってもらうという。

それがもし、無理な場合は、日本から輸入する。

スープは基本的には店ごとに作るが、時にはある程度1店舗で作ってから他店へ持ち込み最終調整をしたりもする。

味は各国で微妙に変えているそうだが、普通の人の味覚ではその違いを知ることは難しいという。

そして、麺に関しては現地製造で、独自の製麺機を日本から解体して持ち込み、現地で組み立てる。ヨーロッパの様な店舗数が少ない地域では、店に製麺所を併設して、麺の製造工程をお客さんに見せる。(お客さんの満足度は高いそうだ)

また、店舗数が多い主にアジア圏では、中心となる店舗に製麺所を作り、各店舗へ供給する仕組みを整えている。

麺の原料となる小麦粉に関しては、オーストラリア製のものを使用するが、現地の製粉会社のレベルによっては現地のものを使う場合もある。

ただ、替えの効かないラーメン特有の風味とコシを出すのに必要不可欠な「かんすい」に関しては日本から輸入している。

3.国に合わせた販売方法

ラーメンは、もはや世界の「RAMEN」となっているので、認知を広げる必要はない。一般的にマーケティング業界では、下記の様な「ファネル」という考え方が存在する。

この認知を広げるために、企業は莫大な広告費を投下していくのだ。しかし、「RAMEN」の場合は既に認知が広がっている。これは海外進出の際にも非常に優位に働いているという。

ただ、アジア各国では、既に「RAMEN」よりも認知されている「フォー」が存在する。この「フォー」が厄介なのは、とにかく価格が安い点だ。

一風堂が提供する「RAMEN」の価格の販売以下で提供されているという。

これに対して、一風堂が出した対抗策は、「日本という国の安心・安全・おいしさ・サービス」という価値を打ち出したのだ。

原材料へのこだわりや、味へのこだわり、そして、何よりも「おもてなし」の心を一番に考え、それを形として具現化している。

例えば、あるアジアの国の店舗では、お客さんがイスに座る際にイスを引いたり、荷物かごを置いたりと日本ならではのサービスを提供している。

勿論、全ての国でそのようなことが行われている訳ではないが、高品質のサービスを提供するよう日々改善に努めている。

4.まとめ

今現在、世界は「コロナウィルス」の脅威にさらされている。アメリカでは、緊急非常事態宣言が発令され、特に、外食産業は営業停止を強いられ、境地に立たされている。

まさに彼らが最も恐れるリスクに直面している。

力の源HDは2025年までに海外の店舗数300店を目指す。

2019年3月期の時点では、売上274億6600万円(前年比12.3増)、経常利益は9億2200万円 (5.7%) 、 売上高の内訳をみると、国内店舗が157憶9500万円(4.9%増)だったのに対し、海外店舗は85憶7800万円(37.4%増)と、海外事業の伸びが顕著だ。

最終的には、この売上構成比の割合が逆転する可能性が高い。

今回の未曾有の非常事態にもどうにか持ち堪えて欲しいものだ。