禁煙に必要なたった二つの思い切り

禁煙ネタと言えばそれだけで一大ジャンルですけれど

禁煙する行程を事細かに書いてあるものはエッセイ、まんが、色々あるけど、結局そのあと継続してタバコをやめた生活に入った人はどういう感じにタバコのことを思ってるのか?って書いてあるものってあまり無いのでは?

そう思ったので私の主観1000%(当たり前ですが)で書いてみようと思います。
タバコやめた人間の1サンプルとして「へー」って思ってもらえれば良いかなと思います。

とりあえず、何でやめたのか、どうやってやめたのかを微妙に長くご紹介します。
私の禁煙を決めた日ヒストリーにお付き合いください。

医者「タバコやめろ」

二年前の七月のはじめ、病院で医者に「タバコやめろ」って言われたのがきっかけです。
ありがちといえばありがち。
まあ健康と天秤にかけた結果、それなりの年数タバコも吸ってきたし、もうやめてもいっかーって方に傾いたのでその場で「やめます」と口にしました。
その時医者は「本数減らすとかでも違うよ」となかなかに優しいことも言ってくれたんですが(今思うとキレられること多いからあやふやなことも付け足すのかななどと思ったりした)中途半端に「本数を減らす」とかだと結局やめないだろうという自分に対するマイナスの自信があったので「いや、やめます」と二回も宣言しました。つい数分前までこんなことになるなんて露ほども考えてなかったのに思い切りの良さが我ながら凄い。

それでとんとん拍子にやめた…………

はずもなく。

そりゃーーーーーーその場ではそう言いましたけど、いざやめるのかーって思うと言いようのない寂しさみたいなものがあって「まじかー」と思いながら病院後にふらっと立ち寄ったカフェでコーヒー飲みながらタバコ吸ってるんですよ。「数分前にお前タバコやめるって言ってただろ」って感じなんですが、まあ人間なんてそんなもんです。

だけど、禁煙経験者の姉に電話したりして、結局私はタバコをやめました。
その際にふたつ、大変有用なことを教えてもらいました。
そのおかげでちゃんとやめました。

さて、その教えてもらったことを早速まずひとつ実行しました。

それは……タバコを捨てること。

その日のうちにまず、持ってるタバコを全部コンビニのゴミ箱に捨てました。
いや捨てるなんて生易しい。
投げつけました。

「畜生!」

って心の中で叫びながら、今でも忘れません、病院後に観に行く予定だった舞台の会場の最寄り駅近くにあるセブンイレブン。

そういう時に限って、朝に買い足したばっかりだったりする。
余計くやしい。
フィルムを取ってすらいないぴっかぴかの新箱、いつものように日常を刹那的に過ごす相棒、そう思って今朝買ったのに夕方にはゴミ箱に入るなんて誰も予想してなかったわ。

だけど、ある意味でその日はとてもちょうど良かった。

突然ですが私はセレモニーが好きです。
どんなものでも、なにか「特別な日」を作りたがる。

前述したように、その日は舞台を見に行く日。
三日前に初見で赴き「最高」以外の語彙を失いむしろ最高過ぎて記憶を飛ばしたくらいに最高だった舞台の、ちょうど3回目で、全部で6枚とったチケットの内、一番の良席で拝める日でした。

「こんなに素晴らしい舞台を見た日に、自分はタバコをやめたのだ」

という記念を勝手に作った。
いうなれば禁煙記念日。

特別感の演出というのは、自分を鼓舞するのに役立つ。

自分の機嫌を取るために、今までなかった付加価値を付けてあげることで認識を改めることが出来る。 #気の持ちよう

私の場合は、禁煙した日を記念日にすることで、しっかりとしたお別れと、自己陶酔のしやすい柱を立てたことが良かったのだろうな、と2年経ってる今でも思います。

しかし。
多分一番汎用性が高く、最も効果的なのは、タバコをやめようと思ったその時に、持ってるタバコを全部捨てることです。
本当に効くので何回でもしつこいくらい言いますが、

禁煙したい人はタバコを捨てましょう。

「この一本を最後にしよう」
とか思わないで、その瞬間にゴミ箱に捨てる。
決別する瞬間は、一瞬がいい。

それまでは捨てることが出来ない、いや「捨てるなんてとんでもない!」と止められる「だいじなもの」カテゴリにあったタバコを「ただのアイテム」カテゴリに移動させ「捨てる」という選択肢を自分に作るのです。

喫煙者の身であればこう思うでしょう。
そもそも「捨てる」という選択肢が浮かばない。
だけどそれを乗り越えないと、禁煙なんてたぶん無理。

「やめる」と宣言するだけなら簡単だが、何かひとつでもそこに行動をプラスしないと口だけになるのは人生においてわりと何度も経験するんじゃないでしょうか。

私の場合は、そうでした。
だから捨てました。泣く泣く捨てました。
タバコとの別れはそのようにして始まりました。

一週間は結構頻繁に「タバコ吸いたいなあ」と思う

とはいえ、箱を捨てて、強い決意で「タバコをやめるぞ!」と鼻息を荒くしたとしても、昨日まで吸ってたタバコ……うっかりタバコポーチを探しバッグを漁ったところではたと「あ、やめたんだっけ」と気づく。のをかなり繰り返しました。
日常に根差しすぎていて、もはや喫煙する動作は無意識にオートメイションされていた。考えなくてもタバコポーチから箱を出して一本取り咥え、ッカチ、と重くなったライターのボタンにぐぬぬと思いながら火をつけ、思い切り吸い込む一呼吸目はめちゃくちゃうまい。
一番のお気に入りは冬のピンと張りつめた寒い空気の中、カタカタと震えながら吸う一口目だった。遠い記憶。

が、それも昨日までの話。
手持ちのタバコは無いし(前日に捨てたから)もう金輪際吸わないものと決めたのである。
さすがに即日は無理。
めっちゃ吸いたい。
その気持ちを紛らわせるのに一番だったのが、「エアタバコ」という手段。

これは禁煙する際に姉から授かった二つの技のうちのひとつである。
(ひとつめは「タバコを捨てる」)

エアタバコってなんぞや

まあわりとそのままですが、

です。

タバコを持つ動作をして、つまり指にタバコを挟んでるように人差し指中指をくっつけ口元に持ってきてくちを覆い、その時点で息を吸い、手を離して息を吐き出す。

まさしく吸った振り。
それがエアタバコ。

今ここを読んでめちゃくちゃ

「んなアホなwwwww」

という声を上げている……そこのあなた……もしこれを読んでるあなたが……本気で禁煙考えてるなら騙されたと思ってやりましょう……

いうてタバコ吸う動作って呼吸じゃないですか。
深呼吸。

それによって落ち着いていた部分も少なからず、喫煙にはあると私は考えます。

あと、これまで毎日続けていた動作をいきなりやめるっていうの、そのこと自体も結構大変じゃないですか?
自然とやらなくなったのならともかく、自分で「やらない」って決めたことをやらなくなるのって、逆にとても難しい。
「やるな」と言われると「やりたい」と思ってしまうあの感情に似ています。

だから動作は残してあげる。
これやってると、自然と回数は減ります。不思議ですが。

めちゃくちゃ「タバコ吸いたい!!」と思ったときはデスクを立ってエアタバコ、最初は辛いですけど、慣れれば辛さも薄らいでいくので試してみてください。

っていう感じでわりとすんなり禁煙しました

さて、そんな感じで私は2年前の7月にタバコをやめました。
幸い周りに吸う友人が少なかったというのもあって、誘惑も少なく済んだのも良かった点です。

では、タバコをやめて2年経って、何がどう変わったのか、という話を以下の点で書き連ねてみようと思います。

・今でも「タバコ吸いたい」って思う?思わない?
・タバコやめて一番変わったこと
・タバコやめて気づいたこと
・禁煙続けられると思う?

今でも「タバコ吸いたい」って思う?思わない?

答えはシンプル。

「めっちゃタバコ吸いたくなる時は今でもある」

別に嫌いになって辞めたわけではないので、脳が覚えてるんですよね。

という、在りし日の記憶を。

例えばスキーに行ってリフトを降りた先の頂上で、天気のいい日は見晴らしの良い眺望にふはーと感嘆の息を漏らしながら吸うタバコのうまさ!!

バーに行っておいしいお酒を飲みながら楽しく会話して、銀色のそっけない灰皿にタバコの灰を落としてグラスを傾ける楽しさ!!

海を見ながら空き缶を灰皿代わりに、潮風を全身に受けながら「うわー風にもってかれる」とか笑いながら吸うタバコのうまさ!!

思い出に紐づきすぎてて、タバコのうまさと同時に過去の自分が楽しそうに笑います。
そして今でも超思う。

「タバコってめっちゃうまいよな~~~!」

ってこと。

禁煙したからと言って、全然、まったく、吸いたいと1ミリも思わない、なんてことはありません。

これでもし、「おいしい記憶」が「まずい記憶」に上書きされる日が来たら、変わるかもしれませんけど。

今のところは「今でも吸いたいと思うことはある」というアンサーです。

タバコやめて一番変わったこと

喫煙所探さなくてよくなったこと。
例えば誰かと、家族でも友人でも、一緒に出掛けているときに「あ、ちょっとタバコ……」と抜けて待たせることも無くなります。

その分の時間も一緒に過ごせますし、待たせることもありません。

まあそもそも今は、外出先で吸える場所が減っていますが……

禁煙をしたタイミングが良かったのか悪かったのか、世情的にお外で吸える場所は年々減って来ています。
喫煙所すら無くなって、吸えるお店は地域によってはローカルな条例で禁止すらされて喫煙できる場所は無くなっています。

今私は喫煙者じゃないけれど、昔通っていたカフェで、駅前で、ファミレスで、駅ビルで、タバコを吸っていた場所が全部なくなったことに寂しさを覚えています。自然淘汰ともいえるんだろうけど、今自分が吸うわけじゃないのになんだか、やっぱり、さびしい。

まあ、害があるっていうのが周知されて、吸ってる本人より周りにも影響が強く出る、というのが科学的に証明されて、文字通り煙たがられることが普通になってる喫煙についてですが、あまりにも迫害されすぎててなんだかなーと思わなくもないことがあります。

せめて「吸ってもいいよ」という場所は少なからず残し、それ以外では吸わないように努めてるひとにはそんなに敵視しないで欲しいなと思います。肩身が狭い。
喫煙所で吸ってるだけでも近く通っただけで舌打ちするひとなんなん?と今でも思います。最低限のマナーは守ってると思うんだけど……

タバコやめて気づいたこと

タバコを吸った後ってあんなにタバコくさかったのか、と気づいたこと。

喫煙者でいた間は全く気に留めませんでしたが、タバコを吸った後ってめちゃくちゃタバコくさいです。
手を洗ったりしてなるべく消してたつもりでしたが、めっちゃくちゃタバコの匂いします。

「あ、こいつタバコ吸った後なんだな」

ってめっちゃわかります。

私は喫煙者でいた時は、吸い終わって数分すれば自分では感じなくなるのでそうすればもう周りにも気にならない程度だろうと認識していましたが、違います。

タバコ吸った後はわかりやす~~~~~~~~~~~く、タバコくさいです。

「何を今更なことを」

って思いました?

でも、私は傲慢にも喫煙者でいた間は「私は違う」という謎の自信持ってましたよ。気を付けてましたし、少し。
だけど離れてみて初めて、実感しました。

どんな工作をしても、吸った後はタバコ吸ったんだなってわかる程度に、タバコくさいですよ。

という気づきの報告です。

禁煙続けられると思う?

これはイエス。

前述したように「吸いたいなー」と思うことは今でもありますが、ものすごい、襲い来るような「どうあがいても!!今!!タバコを!!吸いたい!!!!」という欲求はありません。

あったとしても「今コンビニで買ったら負け」と口に出して買いません。

そもそも今となっては「吸わなくてもいい」という方に天秤が大きく傾いている状態で安定しているので、精神バトルで負けることはありません。

なので禁煙続けられると思っています。

本気で禁煙したいと思っている方へ

やめたいなーって思ったら、「思い立ったが吉日」のことわざ通り、

・まず持ってるタバコを全部捨てる
・吸いたくなったらエアタバコ

をお試しください。

成功するかどうかは……あなた次第です。
都市伝説のような紹介方法ですが、最終的に決めるのは本人の意志なのでこういう他ないかなと。
あなたが禁煙を望むなら、その成功を祈っています。

まだタバコが吸いたい私が禁煙して2年経った今言えること

最後にそもそものこと言いますけど、「禁煙してから2年経ちました」とか数字出してる時点で、未練あるのバレバレですよね。

とはいえ、今はそれも「継続ボーナス」の確認みたいなもので、ソシャゲの連続ログインと同じような感覚、というと分かってくれる方もいるかもしれません。

途切れることなくログインし続ければ続いていくように、禁煙してこれだけの年数経つんだからここで禁煙継続年数がストップするのはもったいないのでは?という気持ちも少なからずあります。

あと勘違いしてほしくないのは、別に私は今も苦しみながら禁煙しているわけではないということです。
吸いたいなーって思うし未練もあります。

でも、私は「吸いたいなー」とは思っても、実際吸わないし、「タバコを吸わなくてもいい」という気持ちの方が強いので、吸っていません。
繰り返しになりますが、この天秤が「吸わなくてもいい」の方に落ち着いてるから吸わないままで続いているのだと思います。
そしてなんの根拠もありませんが、そんな状態のまま、私は一生タバコを吸わないで人生を終えるでしょう。
その結果が判明するのは私が死ぬ時なので、その時までに結果も含めた記事でも書けたら面白いですね。次は禁煙継続10年とかの頃に振り返ってみるのも楽しそうです。

たぶんここまで読んで、現在禁煙を考えている方には酷な未来を見せるようで申し訳ないのですが、禁煙しても一生、タバコすいたいなーって思う確率の方が高いので、ご自分のライフスタイルや健康と天秤にかけて、「こっちがいいな」を選ぶのをおすすめします。
選択にはどっち選んでも大なり小なり後悔ってあるものです。
悔いの無い選択を、とか言いますけど人間ならまず無理なのでもっとライトに「今はこっち」と選ぶくらいが良いんじゃないかな、と思います。
人生を左右する選択でもないですしね。

私とタバコの別れの言葉

未だに、昔からの友人と久しぶりにご飯に行くと「あ、喫煙席にする?」と聞かれるけど、私はそこで「いやもうタバコやめたから!」と苦笑しながら断り、そんなやりとりを懐かしいと感じる程度には、タバコは遠くなりました。

むしろ最近知り合った友人には「タバコ吸ってたんですか!?」と驚かれることも増えました。吸ってたんですよ、人生の内の1/3ほど。

だけど、禁煙から2年経って、こうしてタバコを吸っていた自分を書く機会に巡り合えたので改めて別れの言葉を書くならば。

さらば私のかつての相棒。

きっと、たぶん、一生もうそばには行かないけど、お前のことは忘れない。