2月ももうすぐ終わりですね。
また人間は早々変わることが出来ないということを証明する投稿を増やすお時間がやって参りました。
月の初めには「今月こそ2記事いけるで!!」と意気込んでいたはずなのですがおかしいですね。
ごきげんよう、ヘビ子です。
去年からとっくりおうち時間が増える日々を過ごしてきました。
元々家にいることを好んできた私ですが、成長とともになかなか腰を据えてやることが少なくなったものがあります。
そう、読書です。
全くしていないわけではないのですが、どうしても通勤時間の時、休憩の時、寝る間際に携帯で無料小説を読んだり漫画を読んだり、という習慣になり、本を開いて静かにめくり楽しむという行動からは離れて久しくなりました。
そんな私が、とても久しぶりにそんな絵にかいたような「読書」を楽しんだ本があるので紹介したいと思います。
ホスト万葉集です。
ええまたあれですよ、あれです。
Twitterで見た。
はい。私のニュースソースはいつでもTwitter。大好きTwitter。
でもこんなん流れてきたらめちゃくちゃ気になりません?
気になりすぎるわ。
しかも万葉集ですのでこれは短歌の本です。
そう、同様の書籍を読もうとすれば結構疲れを感じてしまうことも出てくる量ですが、比べるべくもなく、文字数は圧倒的に少ない。
だって短歌と言えば五・七・五・七・七
ひとつの歌がたったの三十一文字。
しかもひとつひとつは独立した歌ですからどこから読んでもいい。
なんて忙しい現代人に優しい本なんだ。
というわけでポチったわけです。
はい来ました。
この令和の時代に電子書籍ではなく紙の書籍を選んだ理由は2つ。
1.電子書籍では縦書き文章の本にどうしてもなじめないため
2.「本を読んだ」体験を久しぶりにしたかったから
1はそのまま、私は小説を携帯でよく読みますが、webサイト上の文章というのは圧倒的に横書きが多いのです。
テキストサイト黎明期から親しんでいる身としては、画面上で見る文章は横書きで読むという動作に特化してしまっていて、どうにも縦書きが気持ち悪く感じてしまうのです。たぶん読む速度も落ちる。
漫画は平気なんですが不思議なものです。(漫画はどこでも大体台詞部分が縦書きの方が圧倒的に多いから、というのも理由のような気がします)
2もまあそのままですが、紙の書籍の良いところは、「全体のここまで読んだ」が分かりやすいことです。
学生時代、かの有名な鈍器のような文庫小説、京極夏彦の百鬼夜行シリーズ(魍魎の匣が好きです)を手に取り「…いくそ」と意気込み読んでも読んでも「まだ序盤すぎる」「やっと1/3か」「うそだろここからさらに半分あるのか」と数字ではなく見た目で分かる「たのしさ」が、私の「読書というものの定義」の根底にあります。
そして読み切った時に「こんなに分厚い本を読んだのか」という充足感は、きっと、というか絶対に電子書籍では直感的には分からないのです。
画面で何十万文字、という数字を見ても「じゃあ長いな~」とうっすら分かるくらいです。
ページ数ならまだもう少し実感として抱きやすいかもしれませんが、「20/320頁」と数字で見ても、今ここ、というバーを見ても、やはり私としては、紙の書籍の厚みで感じる「本を読んだ」という実感は紙でしか味わえないので、それを感じ取りたくて今回選びました。
話がだいぶ横道に逸れましたが、そうして私の手元には紙書籍版の「ホスト万葉集」がやってきました。
知らない世界の五・七・五・七・七
新宿は知らない町ではないけれど、歌舞伎町の「そういったお店」にはとんと縁が無かった私。
ホストと言えば漫画や小説の中の登場人物くらいでしかそのイメージを持っていない。
(どうでもいいですが最近広告でよく「夜王」を見かけます。あんなに破天荒な漫画でしたっけ?今読むと爆笑しながら内容にツッコミが止まらなくて疲れそう)
一般的には「女を食い物にしてる」とかまあとにかくネガティブなイメージが付きまといます。
私自身はあまりそういったイメージすら持てない、「分からな過ぎる世界」であるホストたちの姿。
けれど、ホスト万葉集の中に出てくる彼らの心情は、言い換えてみれば少年漫画のような強大な敵(お店の先輩)と戦う姿、心意気だったり、少女漫画のような世間一般的なホストのイメージとは少し離れた甘酸っぱい純朴な恋の気持ちだったり、言葉では言い表せないあわい憧憬であったりした。
もちろんこれは歌から自由に読み取った私の見解であり、必ずしも誰もがこう思うことはないだろう。
「たかだか和歌のひとつやふたつでちょろいもんだな、ほだされすぎでは?むしろ心配なくらいだわ大丈夫かよ」
とここまで読んだ方は思うかもしれないが、私はどうやら人一倍想像力(妄想力といってもいいだろう)がある影響で勝手にストーリーを作るのが大好きだからそう感じたのだと思う。
逆に言えば、たったの三十一文字の中に、それだけストーリーを感じる歌ばかりがあるということでもある。
もちろん、冒頭で紹介したもののように、シンプルに笑えるものもあるけれど。
こういうのとかね。
だけどふいに、これが「エモい」か、とハッとするような歌に脇腹抉られて言葉選びやその三十一文字の中にぎっしりと込められたストーリーを感じて、私は卒倒してしまった。
「ホストたるもの歌のひとつでも詠めなきゃ」
タイトルはホスト万葉集「はじめに」6Pより、この本が作られることになったきっかけのひとりである手塚マキ氏の言葉だ。
この本の面白いところは、本題である和歌ももちろん多種多様で面白いが、はじめに、や巻末にある座談会、「ホスト短歌の原点は、元祖チャラ男・光源氏です」も全部読み応えがあり笑いながらも知らない世界をとても気になる部分だけ垣間見させてくれるところだ。
私は座談会で出てきた「四谷警察は二丁目文化を分かってるように、新宿警察署は歌舞伎町の文化を分かっている」(ホスト万葉集146Pより引用)という話が言われてみて気づいた!なるほどなー!ととても面白かったので気になった方は買って読んでね。
そして座談会のさらに後ろには、実際に歌を詠んだホストたちの顔写真がずらりと並んでいる。
シンプルに「今のホストってこういう顔なんだ」ということや、「あれっこの人あの歌詠んだ人?マジ?」という遊びが出来るので私的には楽しかった。
いくつか気になるものがあった人はぜひお手に取ってみてください。
笑いながら味わい深い、歌舞伎町のチャラ男たちの歌がどれかはきっと、あなたに届くでしょう。
「歌くらい詠めなきゃ」という職種ではないけれど、
和歌の話題の投稿なのだから学生時代ぶりに歌を詠みます。
ルールも何も分からないのですべて無視して、五・七・五・七・七。
歌舞伎町
知ってるけれど
知らぬ街
いつか聞きたい
歌詠めますか
デザイナー。趣味は博物館ぶらつき、演劇鑑賞。各種遠征もするタイプ。
ここ数年で息をするようにグッズを買う癖がついてしまった。