「マーケティングは創造と科学」をモットーに、
結果にフォーカスしたマーケティングを研究している川村です。
今回は「書籍のプロモーション」がテーマ。
書籍と言っても色々なジャンルがありますが、今回は「レッスンや学習系の書籍」です。
レシピ本やスポーツ上達、ビジネス、投資本などを総称して「レッスンや学習系」だと思ってもらえたら分かりやすいかと。
要は「先生が教えてくれる系」ですね。
で、とある先生の書籍を弊社でプロモーションする事になり、約6ヵ月間の仕込みを経て先日リリースに至り、見事「Amazon書籍ランキング総合1位」を獲得しました。
この結果に至るまでに「何をしたのか?」を、ここでは話したいと思います。
書籍をリリースする、もしくはプロデュースする予定のある方は参考にしてみてください。
書籍リリースまでのスケジュール
まず・・・本来ならば「どうやって出版するのか?」という出版する為の方法論から話すべきなんでしょうけど、そこは今回は割愛で。気が向いたらどこかで話します。
今回は「出版が決まった」というところから「リリース」までについて話したいと思います。
リリース後は「中期販売戦略と長期販売戦略」が控えてますが、ここも今回は割愛で。あくまで「出版決定→リリース」という期間の話だと思ってもらえれば。
で、大まかなスケジュールですが、出版決定から約2ヵ月で「荒原稿」が仕上がり、そこから更に2ヵ月かけて脱稿へ。そしてマーケティングプランやらの最終調整を経て、更に2ヵ月かけてリリース。
つまり、出版決定から「約6ヵ月(半年)」でリリースまで持っていくのが、書籍リリースまでの大まかなスケジュールとなります。
マーケティングプランを決定する
出版決定からリリースまでの流れは上記で説明した通りですが、このスケジュールはあくまで「出版社側」のスケジュールであり、プロデュースを行う僕達の仕事は「マーケティング」です。
なので、この6ヵ月の間に可能な限りの「仕込み」を行う必要がある。
まずは「マーケティングプラン(戦略)」の設計と、それに伴う「仕込み」をスケジューリングしつつ、実際の作業に移していく流れを組むところから。
マーケティングプランは「初動(リリース)」と「中期」と「長期」の3段階に分解して設計する。
「中期と長期」に関しての詳細はここでは割愛するが、僕の立てたマーケティングプランの場合だと「書籍の内容そのもの」に大きく依存する戦略なので、初期段階からガッツリ入らないと成立しないプランになっている。
ここは時期が来ればまた話しますが、今回は「初動(リリース)」におけるプラン。
なぜなら目的は「Amazon総合1位」というシンプルな結果の為のプランだからだ。
このプランを話す前に、Amazon総合1位というのは「どうすれば取れるのか?」について話しておきます。
Amazon総合1位を取るには?
Amazonのランキングは至ってシンプルな設計で、24時間の「売上集計」でランキングされている。
その売上規模は24時間で150万円~300万円(税抜)くらいだと言われているが、もちろん強者とぶつかってしまうとそれ以上の売上が必要な場合も当然ある。
毎時50分頃(2020年3月現在)にランキングは更新されるので、簡単に言うなら「24時間以内に売上を集中させる」事でランキング1位という目的は達成される。
24時間の定義は「どの時間軸を基準にしても構わない」わけです。毎時更新されるので。
なので、集中させる時間はどの時間でも構わないけれど、24時間以内という制限はどうしてもつきまとう。
逆に言えば、短期集中でも構わないから「売上を集中させる」事さえ出来れば、強者とぶつからなければランキング1位も夢ではないと言うことである。
つまりポイントとなるのは、
1.強者とぶつからないリリース日の設定
2.24時間という短期間に売上を集約させる
この2点だけと言えるので、難易度は意外と高くないことが分かると思う。
具体的な戦略は?
Amazon総合1位を取る為に「必要な事」の把握が終わったら、次はそれを具現化する為の施策をどうするか?という、具体的なプランを構築する必要がある。
強者とぶつからない日程については出版社の情報網を借りれば問題なくクリアできるので、編集者に相談すればうまくスケジューリングしてくれる。
問題は「売上を集中させる」というポイントだ。
僕が設計したプランは2つだけ。
1.SNS(Twitter)
2.広告
ただこれだけ。
結論を先に言うと「2」の広告は結局実施しなかった。
理由はリリース直前に僕が体調を崩してあり得ない程「長期間」休んでしまったから。(大汗)
もろもろ制作物が準備できずに断念せざるを得なかっただけなのだけれど、結果的には「1のSNSだけ」でAmazon総合1位を取る事は出来たので、広告はなくても良かったです。
では、SNS戦略とはどのようなものなのか?について解説します。
SNS(Twitter)を活用してAmazon総合1位を取るには?
すでに説明した通りAmazon総合1位を取るには「24時間以内の売上」が重要なので、短期的に売上をあげる必要があります。
その為に必要なのは「短期集中でのアクセス」ですよね?
そこで「Twitter」を活用する事にしたわけです。
ブログやYouTube、TikTokは「アクセス待ち媒体」なのでアクセス(売上)が分散してしまいますが、Twitterは限りなく「プッシュ型媒体」に近いので、こちらの意図したタイミングで仕掛けることが可能です。
インスタグラムは待ちと押しの間くらいですが、僕が仕掛けた書籍の「ジャンル」的に相性がよくない(後でそんな事もないと気付きましたが)と判断したので、狙いはTwitterに絞りました。
Twitterで重要なのは「3点」だけで、
1.フォロワー数
2.エンゲージメント
3.RT数
この3点さえ揃えば短期的に多くのアクセスを集める事は可能です。
ではどうやってこの3点を伸ばせば良いのか?
エンゲージメントと連携と
結論から言うと最も重要なのは「エンゲージメント」です。
今回は「リリース日にアクセスを短期集中させる」というミッションがあるので、ツイートと共に「即反応してもらう事」と「購入した事を発信してくれる事」と「RTしてくれる事」を狙って準備する事にしました。
「Twitter自体を伸ばす戦略」となると話が膨らみ過ぎてしまうので、エンゲージメントマーケティング全般とかコンセプトがどうとかは割愛しますが、書籍マーケティングの為に準備したことは大きく3つ。
1.アルファとの関係値構築
2.アルファにとってのメリットの用意
3.Twitter内の特定のジャンルにおける知名度
「1」は至ってシンプルで、仕掛けるジャンルの「Twitter内有力者」との関係値を構築することです。
日常的な絡みやオフラインでの絡みなど含め、関係値構築は書籍の出版が決まって真っ先に動いた動きです。
次に「2」ですが、僕の仕掛けではこれもシンプルな設計で、ただ「書籍内で紹介する」という内容を盛り込んだだけです。
つまり、アルファは書籍が売れれば売れるほど「自身へのアクセスも増える」という設計になっているので、紹介するメリットが果てしなく大きいわけです。
しかも「他人の本で自分が紹介されている」というのは、承認欲求を強くくすぐります。
Twitterで多くのフォロワーを抱えている人と言うのは、根本的に承認欲求が高い人が多いので、この「承認欲求」というのは大きなポイントになる。
要は「紹介してくれたら〇〇円!」などの現金バラマキなんかより、訴えかけるポイント(メリット)は「承認欲求」にフォーカスを当てなければいけない。
これがSNS攻略の大きなポイント。
最後に「3」だけど、簡単に言えば「フォロワーの数」ではあるけど少し違って、フォローされてなくても「知ってる」という環境を作る事を最優先しました。
結果的にフォロワーも当然増えるのだけど、フォロワーを増やす為に無理をする(現金バラマキキャンペーンなど)より、フォロワー数は微妙でも「知名度はある」という方が重要だと考えたわけですね。
なぜならボディブローのように後から「効いてくる」からです。
よく分かんないけど「フォロワーだけはやたら多い人」と、その業界では有名だけど「自分自身はフォローしてない人」だと、あなたはどちらを信用しますか?
そう。それが答え。
だから知名度にこだわったわけです。
知名度をあげるには露出をあげるしかないので、リプやRTで積極的にアルファに絡むこと。まずはここから。
これをキッカケに「1」にも繋がるので、まずはドンドン絡みにいき、絡みの場をオフラインに移し、コラボレーションなどで露出をあげていく流れを作りました。
「コラボレーションしやすい企画」も重要だったのですが、ここは良い企画が出来たので、すんなりアルファ達と連携することが出来たのは大きな成果だと思います。
いざリリース。Amazon総合1位へ
フォロワーとの関係値作り(ここも重要ポイントは多数あるけど)と、アルファとの関係値作り、そして知名度作りを地味に数ヵ月続けて「やっと」リリースです。
全てはこの日の為(以降ももちろん継続するのだけど)
ここまで仕込みが終わっていればやることは至ってシンプルです。
そう。告知するだけ。
ただ告知するだけで「何が起きるのか?」と言うと・・・
このように「瞬間風速」として大きなアクセスを送り込むことが可能になるわけですね。
自身のフォロワーからのダイレクトなアクセスしかり、
フォロワーさんがRTで拡散してくれた間接的なアクセスしかり、
アルファ達がこぞって紹介してくれたアクセスしかり。
その結果・・・・
見事Amazon総合1位を獲得することが出来ました。
この設計の仕方に関しては、インターネット系のマーケティングに明るい人こそ「理解できない」事が多いのですが、その理由として「DRM」が挙げられます。
インターネット系のマーケティングの多くはDRM(ダイレクトレスポンスマーケティング)と言っても過言ではないほど一般化している方法論ですが、DRMに強い人ほどSNSに弱い傾向にあります。
理由はシンプルで「間接的メリット」に慣れていないから。
ダイレクトレスポンスとか言うくらいなので、ダイレクトなメリットやデメリットしか理解できないんですね。
先の「承認欲求」とかも理解できないから「現金バラマキ」とかやっちゃう。
「シェアの文化」も理解できないから「リストは大事」だから外に出さないとか言っちゃう。
「相互紹介」はやるけど「コラボレーション」はできない。
「リスト数」は気にするけど「知名度」は気にも留めない。
これらが「全く違う」って事を理解しないと、TwitterもといSNS全般ではスベる可能性が高いので注意してほしい。
「リスト取りの為にSNSをやる」って人も多い印象だけど、そもそもの設計が間違っていて、リスト取りなんかじゃなくて「影響力」を意識する方がよっぽど価値が高い。
確かにSNSから「リスト」と呼ばれるものを取得する事はできる。
今回のAmazon総合1位にも大きな貢献をしてくれたのは間違いないけど、そのアクセスは下記です。
間違いなく「大きな価値」だけど、このアクセスは「これっきり」なんですよね。そして「その後は下がるだけ」です。
今回のテーマは「初動でAmazon総合1位を取る」というテーマなので、そういう意味では良いかも知れないけれど、長くマーケティングを組んでいくのなら「リストにこだわらない」方が、長期戦略は組みやすいです。
書籍プロデュースにおいて今回を「前編」とするならば、次は「長く売っていく為の戦略」という部分になり、ここからはそれこそリストとか「無価値」の世界に突入する。
無事にAmazon総合1位を取る事は出来たけれど、その後「長期的に」発行部数を伸ばす事は出来るのか?
どこかでまた「後編」をお届けできればと思います。
今日はこれで以上です。
【マーケター】
「マーケティングとは創造と科学」をモットーに、結果にフォーカスしたマーケを研究している。
好きな言葉は「成功はクリエイティブ、失敗はサイエンス」、嫌いなことは「努力してるふり」
仕事も遊びも家庭も全部全力。楽しんだもん勝ち。おじさんだけど認めたくない病に侵されている。
こうやって記事で見ると凄い通り越して怖いくらいに感じますが、マーケッターってやっぱり憧れちゃうなんかありますね!
ワンピースの伏線回収で尾田先生すげー!!そこまで仕込んでたんか!!みたいな気分です
勉強になりました!!