YouTube広告に2億円以上使ってわかった事

「マーケティングは創造と科学」をモットーに
結果にフォーカスしたマーケティングを研究している川村です。

タイトルの通り直近半年ほどで2億円以上の広告費をYouTube広告に投じて研究してきたのだけど、その結果一定の成果を得られたので要点を簡単にまとめておきます。

前提としては「様々なジャンルの案件」を通して得られた分析なので、ジャンル問わず「YouTube広告」としてひとくくりにします。

かつ、ここで言うYouTube広告とは「インストリーム広告&TrueViewアクションキャンペーン」と定義します。

まずは「ダメな広告クリエイティブ」から。

アクションに繋がらない動画クリエイティブ3選

自社運用している広告クリエイティブはもちろんですが、他社広告クリエイティブも散々リサーチしてきているわけだけど、こういったリサーチや分析を進めていると、広告がまわっているクリエイティブとそうでないクリエイティブとにキレイに分かれます。

まわっているのは成果が良いからだと判断できるし、当然自社でも成果が良ければ広告予算を上げるし悪ければ止める。当然ですね。

では「どういった広告」が、あまりまわっていない(=成果が悪い。ダメな広告)のか?

最低でも以下3点は注意して避けるようにしてください。

1.訴求ポイントが中盤や後半にある

簡単に言えば「冒頭が弱い」という一言に尽きるのだけど、ホームページの訴求はヘッダーに力を入れなさい!って話と通じることで、開始5秒で勝負は決まる。

テレビCMのような受動的な広告の場合、ユーザーは任意でスキップしたり出来ないので、ストーリー性を重視して「ヒル(丘)クライム(登る)型」の作りになっている事が多い。

要は序盤から徐々に盛り上げていき、中旬にピークを迎えて後半にオチをつける・・・ストーリーの基本である「起承転結」に沿った作り。

音楽で言うならイントロ・Aメロで始まりBメロを経てサビにいくイメージですね。

しかし、ことYouTube広告の場合は能動的なモノなので、興味が湧かなければ「スキップ可能」な環境です。

しかも・・・その瞬間「見たい動画がある!」という状況下で「邪魔されている状態」なのがインストリーム広告の特徴ですから、この「訴求を冒頭で明確に」というのは特に重視して考えなければいけません。

音楽で言うなら「サビから始める」ってイメージ。

たらたらストーリーを語ったり、意味不明な企業ロゴやサービス名から導入スタートするようなクリエイティブは失敗します。

山の頂上・・・ピークから始めて短い尺の中に何度も山を作る・・・富士山のような1つのキレイな山ではなく、アルプス山脈のように何度も連続して頂上が連なるイメージですね。

「YouTubeチャンネル」の運営をしていると「視聴者維持率」などは重要な指標として「率は高い方が良い」と捉えますが、ことYouTube広告においては「維持率は低く!早期アクションを!」と考える方がベター。

ダラダラ見られると課金も発生するわ結局「なにこれ?」と飛ばされるわで良い事はあまりありません。

もちろん、意図的に冒頭で「覚悟を決めさせる」作りにすることで、無駄な課金を発生させない(開始30秒までは無料)って方法も1つの手段ですが、何にせよ「背景を想像し意図を持って」クリエイティブを作る必要があります。

何にせよベーシックなのは「頂上から始める構成」なので、冒頭で視聴者の心を掴み、何度も山場を作り、シンプルなメッセージで行動喚起する事。これがベターです。

2.テロップとCTAが被っている&デバイスチェックがザル

今日のテーマにしている「YouTube広告」の定義は「インストリーム広告&TrueViewアクションキャンペーン」だと言いましたが、結論として「行動喚起」が目的です。

LPやHPへの導線にしたり検索させたり・・・何らかの「アクション」をゴールとしていますが、基本的には「LPへの導線」というパターンが大半かと思います。

だからこそ「CTAボタン」をつける事の出来る「TrueViewアクションキャンペーン」を選択してるわけですね。

にも関わらず・・・・

テロップがCTAボタンに被っているクリエイティブの多いこと多いこと。

テロップ読めないというね。(笑)

しかも極めつけはデバイスチェックを行わずに「全デバイス配信」しているクリエイティブとか目も当てられない。

スマホでYouTube見てると出てくる出てくる・・・

・イラストが何なのか見にくいもの
・文字が小さくて読めないもの
・検索窓にキーワード書いてるけど見えにくい

要はスマホ環境に適していないクリエイティブをスマホで配信しちゃってるパターンですね。

「適していない」というのはシンプルに言えば「いちいち小さい」って事です。

パソコンやテレビ画面じゃないんだから、よくデバイスチェックして確認してから配信しなければいけません。

スマホにおける視認性の低さを考慮してクリエイティブを作る(もしくはPCとSPで分ける)って点と、CTAボタンとのテロップ被り(PCとSPで被り方も違う)に注意する事はマストですね。

3.他社のマネ(パクリ)をしたクリエイティブ

先に言っておくと僕はマネ(パクリ)はダメだと思ってません。だけどパクり方が下手だと火傷します。

最近は減りましたが、少し際どい(男女間にまつわる話)冒頭で惹きつけてストーリー展開でメイン商品(主に美容系)に誘導する「漫画クリエイティブ」が乱立していました。

結果的に市場の食い合いになり、他社に勝つ為にドンドン過激になって、最終的には広告審査に通らない(淘汰される)という事態に発展したのですが、下手なパクリ方の最たる例ですね。

結局のところ「共食い」して終わるだけなので、パクるなら表面をパクるのではなく「本質をパクる」という点を意識しましょう。

逆に言えばリサーチ段階で「よく見かけるパターン」のクリエイティブは避ける方が無難です。

ちゃんとオリジナリティを持ちつつ本質をパクれば滅多なことでは外しません。

それを考える為に「脳のリソース」を使うべきですね。

って事で、アクションに繋がらない広告クリエイティブ3選をお伝えしましたが、逆に言えば上記ポイントを回避していれば、そこそこな広告クリエイティブは出来ると言う事。

メチャクチャ秀逸な広告クリエイティブを作れるかどうかはスキルやセンス、能力に依存する部分も多いかも知れませんが、「そこそこ」であれば誰でも作れます。

当然ですが僕も「そこそこ派」なので、秀逸なもので1本釣りをしたわけではないので、ここからは「そこそこなクリエイティブ」で、どのようにして利益を上げるのか?という点を話してみます。

データ管理と分析を徹底する事

結論はコレ。

表面的なテクニックは山ほどあるのだろうけど、ぶっちゃけ「広告運用」においてテクニックなんかより重要なのは「データ管理と分析」です。

YouTube広告に限らず広告運用全てに通じる話ですね。

この点をちゃんと説明するとクソ長い話になってしまうので、端的に要点だけ書きだします。

1.データ量における「現在地」を明確に

CVRがどうとかCPAがどうとか言う人は多いですが、その数値が「統計的に信頼に値するデータ量をクリアしているか?」という要素を無視してCPAがどうのこうの言っても意味がない。

逆に、統計的に「信頼できるデータ量」というのはかなり多いので、それを待っていても時間の無駄。

なので、統計的に「データ量と信頼性のブレ幅」を考慮して、段階的に指標を用意すると運用する際の目安とアクセルの踏む方が明確になる。

数値上は「良い」けどデータ量的に「ステップ1」の段階だから油断ならないぞ?とか、数値は「普通」でデータ量もステップ3をクリアしているから、このセット(クリエイティブと予算とLPなど)はここで固定しよう!などですね。

2.指標を明確に

原則的には広告運用の指標のベースは結局「CPA」になります。

LPの成約率や商品の継続率、単価などのLTVは、広告運用とは「別の指標」なので、運用ってカラムとは分けて考えるべきだからですね。

逆に言えばCPAがベースなら、CPAに絞って指標を明確にしておけば、日々のルーティンにおいて迷う事は(無駄な時間を過ごす事に等しい)なくなります。

基本的には、

目標CPA
ベースCPA
限界CPA

この3つを設定して監視しておけば良いので、ベースを割って限界に近づくようなら新たなクリエイティブを用意したり停止したりするだけです。

逆に言えば「限界CPAがどこなのか?」という点を把握しておかないと全く意味が無いので、LTVなどをしっかり出しておくことは必須です。

同時に・・・

3.常にテストを並行する

クリエイティブ違い、冒頭違い、LP違い、CTA違いなど、様々なテストを行って最適化していく必要があるわけですが、テストは「合うか合わないか?」を確認する行為です。

なので、常に「手を加えた事とその結果による数値の違い」を追跡しないといけません。要は「データ取り」という状態ですね。

データ取りの基本は「統計的に信頼度が認められるまで続ける事」です。

途中でいちいち触らない。

1度決めたテスト内容を「データとしての価値がある」という段階までは、悪くても我慢して待つことです。

でないとかけた広告費が「データにさえならない」という、本当の意味で無価値になるので、この点は注意が必要。

そして最後に・・・・・・・・・

4.統計データは最終的には「信頼できないモノ」だと認識する

言ってることが矛盾しているように聞こえるかもしれないけれど、統計データとは「静止した状態」では正しいけれど、動的な環境においては背景によって変わるから正しくないのです。

例えば政権支持率。

分母として1万世帯を対象に取ったデータは統計的に信頼できるが、データを集める期間として1年かけたデータなら信頼できない。なぜなら「期間中の出来事で上下する」からですね。

不祥事があればそりゃ下がるわって話です。

なので、データを元に運用するのだけど、そのデータも「過去と直近」を分けて考えなければいけないと言う事ですね。

過去データは指標にするけど直近のデータとの乖離が大きければ「見直す」という事も必要。

リバランスを取っていく必要があるって事です。

ってことで今日はここまで。

今さらだけどアレコレ詰め込み過ぎるのはよくないな~・・・

クリエイティブの話に特化して話した方が良かったかも?

なんて反省してます。

ってことで以上です。