「マーケティングは創造と科学」をモットーに
結果にフォーカスしたマーケティングを研究している川村です。
どのようなビジネスを行うにしても「広告」は必須と言っても過言ではないわけですが、今日はその「広告」の話を少し。
弊社で取り扱っているEコマース案件があるのですが、こちらの案件は今までザックリ「ROI:250%」くらいで回ってたんですね。ずっと。ROASでは400%をちょい切るくらい。
ところが・・・
あるタイミングを境に「ROAS:800%、ROI:550%」という数字に跳ね上がりました。
広告効果は実に2倍以上です。
ご存知ない方の為に少し補足しますと、WEB広告用語で「ROAS」というのは、かけた広告費に対して得られた売上を「率(%)」であらわしたもので、広告費に対して何%の売上があがったのかを知る事ができる数値です。
それに対してROIというのは、かけた広告からの「利益」を求める数値なので、どれだけ採算が取れているかを判断できます。
例えば、100万円の広告費をかけて300万円の売上があり150万円の利益が残っている場合、ROIは150%になります。
それぞれの注意点としては、ROASの場合はどこまでいっても「売上」の指標なので、ROASがどれだけ高くても「利益はマイナス」なんて事もあるわけです。
ROIに関しても「率」でしかないので、ROI500%とかのバカ高い数値が出ていても、1万円の広告費に対して5万円の利益が出てます・・・って場合もあるわけですね。
これならROI200%で良いから200万円の利益の方が良いって話になります。
こういった前提を踏まえた上で今日の話ですが、なにをやったらROASやROIが2倍になったのか?
その際に「実際に出た利益」はどうなったのか?
こういった話をしてみたいと思います。
広告効果を上げる”基本的な施策”とは?
まず最初に、ROASやROIといった数値を引き上げる為に、広告運用において行うべき一般的な施策はどのようなものがあるかおさらいしておきます。
ビジネスにおける基本的な「方程式」は以下。
露出数×誘導数×成約率(登録率)×商品単価×継続率(クロスセル率等)=売上
売上-製造原価-固定費-運営費-販管費=利益
はい。基本方程式ですね。
継続率や商品ラインナップで勝負するクロスセル戦略など、商品単価を上げるには様々な戦略があるので、個人的には面倒くさいので「商品単価」の部分を「LTV(ライフタイムバリュー)」で計算する事が多いです。
で、ですね。
ビジネスプランとしての改善案であれば、商品ラインナップを増やすとか継続率の改善を行うとか、商品単価をどうとかこうとか、CS(顧客満足度)を上げる施策がどうのこうのと考えるわけですが・・・
今回のテーマは「広告効果を上げる」なので、商品構成にまで訴求した話は無しで考えてみます。
その場合・・・
1.露出数
2.誘導数
3.成約率(登録率)
この3点が主な施策対象となるわけですね。
具体的には、ターゲティングを変更したり露出媒体を再考したり広告予算を上げたりして、1の露出アップを行います。
次に、クリエイティブ(広告素材)を多数用意してテストを繰り返し、誘導率の引き上げを行いつつ、その後の登録率や成約率アップに良い影響が出るであろうクリエイティブを探していきます。
そして最後に、商品の販売や無料登録(リード案件)を行ってもらう為のLP(ランディングページ)の改善を行います。
基本的にはこの3点を繰り返すことで、広告効果を上げていくわけですね。ある意味「永遠の課題」となる終わりなき戦いです。
これらはベーシックな改善方法であり、当然これらの施策は行ってきていたのですが、先に挙げた通りこれらの施策は「終わりなき戦い」です。
なので、どこかで線を引かないと一生終わらないんですね。
そういう背景があるので、僕はこの施策に「1つのゴール」を設定しまして、ゴールに辿り着いてからは「改善策」を打つのをやめたんですね。
そのゴールが冒頭に話していた「ROI:250%」という数字です。
この数字が出ている限りは、単純に広告予算を上げれば利益は増えるので、それで十分だと判断したわけです。
で、重要なのはここから。
ROASやROIが2倍に跳ね上がった施策とは?
先に結論から話しますと、施策らしい施策は「何もしていない」です。
やった事は「広告予算を上げただけ」なんですね。
どういう事か?
元々は月間の広告費500万円程度に対して1,600万円ほどの売上、もろもろ差し引いた利益が800万円強で、ROAS:400%・ROI:250%って状態でした。
その後、月間広告費を2,200万円まで引き上げたところ、売上は1億4,000万円(ROAS:800%)、利益は1億円(ROI:550%)ほどに跳ね上がりました。
市場背景など様々な要因が考えられますが、大きな理由の1つとして僕が立てている仮説は「イメージ広告要素」が大きかったのではないか?という点です。
要は単純に露出が上がったことによる「ブランド価値の上昇」が原因なんじゃないかと。
ビジネスって、極端な事を言うなら「マインドシェアをどうやって奪うか?」という点が大半をしめていると思っているのですが、露出を上げることによって「よく見るよね~」という状況を生み出す事ができます。
その結果「Aと言えばBでしょ!」と、何の根拠もない「思い込み」を植え付ける事が出来るんじゃないかと。宅急便と言えば「ヤマトか佐川でしょ!」みたいな。
そういう仮説を立てています。
そう考えると、次に立てるべき「戦略」と言うのが見えてきまして、いま考えている事と言うのは・・・
ブランディングと同時多発アタック
この2点が争点になると考えています。
ブランディングは言葉の意味そのままで、特定のジャンルにおける「ブランド価値を確立する事」ですね。
「Aと言えばBでしょ!」
「引っ越しと言えばサカイでしょ!」
って状態を作るって事ですね。
その為に必要なのは、圧倒的な露出における「見たことある~」って状態の演出と、「信頼のおける企業(サービス)だ!」と思ってもらう演出の2点。
この2点が非常に重要な論点になります。
次に「同時多発アタック」ですが、ポイントは2つあります。
1つは上記「ブランディング」の助長。
「見たことある~」を演出する為には「あっちこっちで見かける」って状態を作る必要があるので、1ヵ所での露出を上げてもダメってことになります。
例えば、YouTubeでは有名な「ユーチューバー」がいても、一般的な知名度はテレビによく出ている「駆け出し芸人」の方が高く、YouTubeだけで有名なユーチューバーの知名度なんかありません。
それと同じで、一カ所だけで露出を上げても「見たことある~」の演出には弱いので、同時多発的に「あちこち」で露出を上げる必要があります。
2つ目は「シェアの確保」です。
「Aと言えばBでしょ!」の状態を作る為には絶対的に「シェア」を持っていないと不可能なので、市場シェアを奪いつくす必要があります。
その為に必要なのは「勝てる市場で確実に勝つ」って方法で、1つ1つ確実にシェアを奪っていく事で、総合シェアを確保していくことができます。
その為に、小さな市場であっても(むしろ小さな市場こそ)確実に奪う為に、同時多発アタックが必要だという事ですね。
これらの考え方は、以前書いた記事で少し触れた事でもあります。
考え方として正しいかどうかはまだ分かりませんが、広告効果の改善における思わぬ結果を見る限り、可能性は十分あると思っています。
こちらは引き続き実践あるのみなので、また改めて結果はシェアしていきますね。
以上です。
【マーケター】
「マーケティングとは創造と科学」をモットーに、結果にフォーカスしたマーケを研究している。
好きな言葉は「成功はクリエイティブ、失敗はサイエンス」、嫌いなことは「努力してるふり」
仕事も遊びも家庭も全部全力。楽しんだもん勝ち。おじさんだけど認めたくない病に侵されている。